りんご畑に3分滞在したら、それはグリーンツーリズムなのか?

「グリーンツーリズム」という言葉を耳にした事があると思います。以前から存在する言葉ですが、外国人観光客の受入など、今後色んな事と連動する可能性が高い注目キーワードです。今日はそのさらなる可能性を探ります。

そもそもグリーンツーリズムとは何か?


まず、グリーンツーリズムの定義を調べてみました。

農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。滞在の期間は日帰りの場合から長期的又は定期的・反復的な(宿泊・滞在を伴う)場合まで様々。(農林水産省HPより)

ふむふむ。他のサイトもチェック。

 

「緑豊かな農村漁村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動」、または「農村漁村で楽しむゆとりある休暇」のこと。国により受け止め方が変わるので、国内でのツーリズムを「日本型グリーン・ツーリズム」と表現されることもある。近年、生物の営みとのふれあいが希薄となり、自然と人間のかかわりが縁遠くなってしまったために、グリーンツーリズムに関心が多く寄せられるようになってきた。このグリーンツーリズムを通して、農山漁村は地域活性化を図ろうとしている。(やまとごころインバウンド用語集より)

こっちの方がわかりやすいかな。他のサイトはどうだろう。

 

「緑豊かな農山漁村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動」「農山漁村で楽しむゆとりある休暇」とも言いかえられる。日本の農山漁村余暇法において「農村滞在型余暇活動」を「主として都市の住民が余暇を利用して農村に滞在しつつ行う農作業の体験その他農業に対する理解を深めるための活動」と定めている。グリーンツーリズムの基本は、農山漁村に住む人々と都市に住む人々とのふれあい、つまり都市と農山漁村との住民どうしの交流である。その媒体としては、体験、産物、生活、文化など農林水産業を中心とした生活の営みそのものといえる。(ウィキペディアより)

 

他にもグリーンツーリズムを説明している言葉はたくさんありますが、整理すると、

①場所は「農山漁村地域」
②内容は「交流を楽しむ滞在型の余暇活動」

この二つが必須項目みたいです。それ以外は「国での受け止め方が変わる」と言われるように、解釈の幅は広いようです。

では「滞在型」とは、どの程度滞在すればいいのでしょう? 1日でOK?3日?その期間は農山漁村を離れてはダメ?途中、ちらっと街に買い物に行ったらダメ?

滞在とは「農家民泊」じゃなきゃダメ?終日農業体験するけど、夜だけ街のホテルに泊まったら、それはグリーンツーリズムじゃない??

タイトルにもありますが「3分農業体験」はダメなのか?「いやいや、3分はないだろ!」と言うならば、では30分だとOK?2時間は?何分だとグリーンツーリズムになるの??

つまり、明確な基準がないのです。

定義がないならば「青森県ならではのグリーンツーリズム」という定義を決めてブランド化してしまおう!というのが今回のスタート地点です。

 

「食」を中心に据えたグリーンツーリズム


と言う事で青森県が中心となり、インバウンドも視野に入れた「青森県ならではのグリーンツーリズム」を検討するモニターツアーを実施しました。中心に据えたのは「食」。美味しい物が嫌いな人っていませんからね。笑

今回お集まり頂いたのはタイ、台湾、中国に精通したプロの皆さん。「食」をキーワードに青森ならではのグリーンツーリズムをいかに編集していくかを検討しました。

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青森に到着して真っ先に向かったのはりんご畑。ウェルカムアップルでおもてなし。

 

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昼食は「津軽あかつきの会」にて、農家のお母ちゃんが作ってくれた津軽の保存食と郷土料理を満喫。

その後、

 

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オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノの笹森さんを訪問。野菜やワインを作っている現場を見学。

 

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夕食は笹森さんのレストランで。畑の食材がテーブルでどのように表現されているかを楽しみます。

 

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翌朝はりんご市場を見学。

 

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実際にりんご箱を作ったり、

 

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りんご農家さんがこよなく愛する「津軽ホルモン」を食べたり、

 

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酒蔵見学をしたり、

 

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南部太ねぎを収穫して、丸焼きにして食べたり。

 

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2泊のうち1泊は農家民泊しました。

 

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お孫さんがやんちゃで楽しかったです(笑)

 

さて、この内容は「グリーンツーリズム」でしょうか?

 

定義がないなら地域でブランド化する


実際に農作業的な事は、南部太ねぎの収穫くらいです。しかし、農作業に欠かせない「りんご箱」を作る体験をしています。

食べてばっかりですが、食べる事を通してその地域の文化や暮らしぶりを学んでいます。「人」とは間違いなく交流していますね。

何より一番のポイントは「滞在型」の部分です。今回のツアでは弘前、青森、藤崎、板柳、十和田、八戸などの地域を移動しています。「全然滞在していないじゃないか!」って思います?

いや、我々は青森県内に滞在しています。農山漁村を巡り、人々と交流し、青森県内に滞在しながら余暇活動を行っています

「滞在」と言う言葉をどのように解釈するか。旅の目的地は1ヶ所とは限りません。特にインバウンドの場合は必ずいろんな地域を周遊します。これはDMOにも繋がりますよね。

農山漁村における「体験」と言う言葉をどのように解釈するか。畑に入る事だけが体験とは限りません。「食べる事」だって体験と捉えられないでしょうか?

こんな風に「編集」できれば、グリーンツーリズムはもっと自由で、もっと可能性が広がる。すると「東北グリーンツーリズム」という着地型観光商品を作る事だってできる。

グリーンツーリズムを「自由に捉えていい」という発想は、昨年安心院を訪問した時にヒントをいただきました。受け入れる側の都合ではなく、フォーカスすべきは訪れる人にいかに大満足してもらうか。その本質をきちんと見極めれば、農作業や民泊にこだわり過ぎる必要はないかもしれません。

その時のブログはこちら。
農業体験の定義は?安心院で感じたグリーンツーリズムの可能性!

他の地域と同じ事をしていてもお客様に選んで頂けません。いかに価値を高めるか。発想を転換するか。そして仕掛けるか。

今日も「解釈の幅を広げて」行こう!

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投稿者: 西谷 雷佐

青森県弘前市出身。 東奥義塾高等学校を卒業後、ミネソタ州立大学マンケイト校で産業心理学とスピーチコミュニケーションを学ぶ。 たびすけ合同会社西谷代表を務める傍ら、路地裏探偵団の団員としても活動中。 まち歩きや地域の魅力発信から婚活まで講演活動多数。