先日、長野と山梨へフルーツツーリズムの視察に行ってきました。いずれも果物で有名な県ですよね。でも山形とか和歌山、そして青森だってその地名から果物を連想します。つまり日本全体がフルーツ大国。そんな中、青森がりんご以外の果物にも注目して仕掛けようとしている事。今日はそんなお話です。
果樹観光ネットワークを作ろう!
事の発端は、東青地域県民局からの相談でした。東青(とうせい)とは青森県のエリアのひとつで、6つの市町村から構成されたエリアです。
この地域カテゴリーは、地元の人間でも時々わからなくなります(苦笑)。それをとってもわかりやすくまとめたブログがあるのでご紹介します。
私と同じく青森LOVERSメンバーで、弘前が誇る名ブロガーさいとうみかこさんのリアル青森への投稿です。
ね?ホントわかりやすい!
さて本題。東青地域県民局からの相談は「東青エリアでりんご以外の果樹も含めた”果樹ツーリズム”を検討したい」という内容。
青森はりんご以外にもいろんなフルーツを作っています。スチューベンやカシス、ブルーベリーに桃、いちごなどなど、例をあげればキリがないほど。
「ブルーベリーにいちご?青森っぽくないのでは?」と考えた瞬間、地域の可能性を狭めてしまいます。青森県の果樹の色んな可能性と切り口を考え、実行しよう!というプロジェクトがスタートしました。
まずは東青地域の生産者が集まって「果樹観光ネットワーク勉強会」を開催。
その後メンバーの園地を視察させて頂き、イメージ固め。
そして先進地視察ということで、長野と山梨へと向かったのです。
リピーターが集う「フルーツ王国」長野&山梨
まずやって来たのが山梨県須坂市。
「さあ打ち合わせしましょう」と通されたテーブルは、畑の中にありました(笑)
このエリアでは周辺の果樹農家さん達が連携して「信州フルーツ王国振興会」を構成し、スケールメリットを活かして収穫体験を中心に集客しています。
このりんごは初めて見ました。かわいい名前ですね。
そして多くの園地がりんごに取り組みながら、ぶどうに力を入れてましたね。収益性も高いとのこと。
その後お伺いした園地では、青森県の地図を広げて待っていてくれました。「弘前はどこにあるの?」そんな風に受け入れていただき、ほっこりしました。関心を持ってもらうというのは嬉しいものです(これ重要)。
3つほど園地を巡りましたが、どの園地も収穫体験を実施しながら、最終的には「毎年収穫体験に来れなくても、注文を頂いて発送する」というところにきちんと落とし込みができていました。
同時にフルーツ王国として「首都圏からも訪問しやすい距離」を強みとしたブランド化&見える化がきちんとできているので、多くの観光客を惹きつけるのでしょう。
では青森県はどうなのか?「首都圏から遠い」から長野のようなブランド化は難しい?
商工会が果樹ブランディングに取り組む南アルプス市
次に訪問したのは南アルプス商工会。
こちらでは「南アルプス桃源郷フルーツプロジェクト」という事業の元、「完熟」という点にこだわった「完熟フルーツ」をブランド化しており、最高の作り手には「完熟フルーツマスター」という称号を与えています。
フルーツマスターの作ったフルーツにだけ「完熟フルーツマスター認定」というシールを貼ることが許させており、シール付きフルーツには通常より高い値段がつくそうです。
こちらがそのシール(画像はHPより)。
例えば卸市場に流通された場合、同じ品種・同じ大きさのりんごならば、Aさんが作ってもBさんが作っても料金差はつきにくいです。
しかしこのシールが貼られると、状態によっては1個あたり数十円高く取引される事もあるそうです。つまり個人販売ではなく卸市場に流通させる場合でも「作り手を明確にする事で価値を生み出している」訳です。
過去には「完熟フルーツマスター厳選 すももぷっちょ」が発売された事もあるとのこと(現在は販売されていません)。
色々と深いお話を聞かせて頂きました。なぜ農協や行政ではなく、商工会がこのような取り組みを始めたのか。農協との意見の相違など様々な壁があったそうですがやり抜いた。その土台に私が感じたのは「覚悟」でした。
「俺がやらなくて誰がやる」「なんとかせねばならん!」と奮い立った一人がいたんですね、この街には。とても刺激になりました。
禁止事項が多い民泊
最後に訪問したのは、インバウンド対応グリーンツーリズムの先駆者的存在「中込農園」さん。HPは日本語・英語・中国語に対応しています。
こちらのHPはたくさんの禁止事項が明確に記されていて、外国人観光客を受け入れる際は「きちんとこれを理解し守ること」を徹底しています。その内容はこちら。
「うわー、面倒くさいわ!」と思う人もいるかもしれませんが、連日外国人宿泊客で賑わっています。収穫体験や農業体験もたくさんの申し込みがある。きちんとルールを理解した方がやってくるので、トラブルも少ないとのこと。
中には「園地内で食べるだけで、持ち帰りは別料金!」と言ってもこっそりカバンに果物を入れる人とか「この木には触らないでね!」と言っても触る人とかいたりします。
そんな時日本人は「まあ、しょうがないか」と諦める傾向が強いです。しかし「ダメなものはダメなんだ!」「(極論)嫌ならこなくていい!」というスタンスは、継続していく上では、あって然るべきだと思います。
辛い思いしてやる必要はないんです。いいお客様をえこひいきしていいんです。
それを長きに渡り実践し続け、結果も出している中込農園さん。信念を持って取り組んでいる人はカッコいいですね。
東青地域はどのようにブランド化を進めるか?
さて、先進地の視察を通して、東青地域ではどのように取り組むか。その打ち合わせが先週行われました。東青地域の果樹をどのような角度で編集するか。
例えば「花」に注目してもいいかも知れません。5月には桃、さくらんぼ、りんご、ブルーベリーの花が咲きます。6月にはぶどう、カシス、栗、柿の花が咲きます。
これらを「写真」「絵画」「俳句」などの切り口で、コミュニティを明確にして誘客に繋げる。温泉や美味しい食事も楽しみながら東西エリアの果樹園を巡る。果樹だからと言って「収穫」に限定する必要はないでしょう。
正攻法で「収穫期」に注目すると、例えば9月はりんご、桃、梨、プルーン、ぶどう等5種11品目程度が同時期に収穫可能です。「フルーツ好き」をターゲットに「青森で5種11品目収穫体験&食べ放題ツアー」という切り口もあるかもしれません。
この全てを「人」をフックにして物語を編み、春夏秋冬リピートに繋がる魅せ方をする。このようなアプローチで東青の果樹を「主役」にすることもできるでしょう。
さらには、例えば青森にブルーベリー収穫の為だけに来る事はなくても、祭り見物の隙間時間や、チェックアウト後の「おめざ」に畑でブルーベリーを収穫して食べる、そんな仕掛け方もできる。
とまあ、アイディアは他にもたくさん出てきます。編集の仕方次第で新たなアプローチはいくらでも可能です。あとはいつも言う通り「やるかやらないか」。私は好き勝手アイディアを言う事はできますが、実際に取り組むのは生産者の皆さんです。いかに自分毎として、仲間とクオリティーコントロールしながらやるか。今後の東青地域にご注目ください。
今日も「編集」に注目して行こう!