先日熊本城に行ってきました。お城が素晴らしいのは勿論、何やら居心地がいい。その理由は「当たり前なんだけどなかなかできない」受入れ体制にありました。今日はそんなお話です。
「何」を通して情報を得るか
久し振りに訪れた熊本城。圧巻でした。
どのような歴史があるのか。どんな人が住んでいて、この部屋は何に使われていたのか。
当然観光地ではこういったことを知りたい気持ちになります。では訪問者は何を通してこれらの情報を得ることができるのでしょう?
同じ内容でも「伝わり方」が違う
お城に入ってから情報を得る手段。いろんな可能性がありますよね。
・パンフレット
・案内板
・音声ガイダンス
・映像
・Web検索 などなど
最近はスマホをかざすと動画が見れたり、ゴーグルを着用すると実際の風景に3D画像が浮き上がったりと、情報の入手方法は多種多様です。
そんな中に「ガイド」という選択肢もありますよね。入口から出口まで、通して案内してくれるガイドさん。
やはり現地の方のお話しを聴くのは何よりも心に響きます。紙や画像、動画にももちろん良さはありますが「生の声」にはそれを上回る魅力がある気がします。
しかし「60分のガイドツアーに参加している程時間はない」「興味のあるところだけ、話を聴きたい」というニーズもあるのかもしれません。
「興味のあるところだけ情報を知りたい」ならば、案内板やパンフレットの方が利便性が高いかもしれませんが、「興味のあるところだけ”話を聴きたい”」となると、なかなか難しいんだろうなぁ、と思ってたら、
熊本城では要所要所に案内してくれる方が立っているんです。
とても分かりやすい説明。手には解説のポイントとなる項目が大きく印刷されており、視覚的にも理解しやすくなっています。
マスクの男性も、来場者の雰囲気を見計らいながら話しかけています。パンフレットには書いていないような事を細やかに教えてくれます。
このようなスタイルだと、廊下を移動中に仲間とおしゃべりしたり、パンフレットを読み直したりという時間も生まれます。
ガイドは「絶対聴かなければいけない」という事はないので、興味がなければスルー可能。逆に興味があれば質問する事もできます。
天守にももちろんガイドさんが。お城の事だけではなく、街の様子や山、自然の事などもお話ししていました。
廊下にも常にスタッフさんが立っていて、来場者が困っていると声をかけてくれます。
ホテル業界で言うと「リッツカールトン」みたいな感じ。かゆいところに手が届くサービス。だから居心地がよかったんですね。
ちなみに靴を持ち歩くビニール袋回収場所にもスタッフさんが。とてもにこやかで感じの良い接客でした。
お城の外には武将隊。言葉遣いも昔風で、訪問者を楽しませてくれます。
「楽しい先の感動」を生み出すのは「人」
日本には素晴らしいお城がたくさんあります。「お城が大好き」という人もたくさんいますが、
「せっかく熊本来たから、熊本城見ておこう」
「せっかく名古屋来たから、名古屋城みておこう」
くらいの人もたくさんいます。私もどちらかというとこのタイプです。
こういった「おもてなし」を感じる場所は印象に残ります。印象に残ったり、感動した事は人に伝えたくなる。
「人件費かかるだろうなぁ」とか野暮な事も少し頭を過りましたが、単純に私は感動しました。「おもてなし」が溢れていました。
何よりスタッフのみなさんのコミュニケーション力が高い。アカデミックになり過ぎず、しかし質問するときちんと対応できる知識をしっかり持っている。
もしかしたら、観光客にとって対応してくれたガイドさんが「熊本の印象」になるかもしれません。
どんなに熊本城が素晴らしくても、馬刺しがおいしくても、人の印象が良くないと台無しになります。
そういう視点では、熊本城のスタッフの皆さんは本当に素晴らしく、気持ちよく見学できました。
パンフレットの充実は「スタート地点」
今回の熊本城。もちろんパンフレットや案内板はあったんです。そこに人が連動したからおもてなしと感動に繋がった。
よくある「パンフレットや案内板を充実させていこう」という考えもわかります。しかし大切なのはそれをいかに活用するか。活用するのは「人です」。
「パンフレットだけではなく」
「60分ガイドツアーだけではなく」
その中間にこそ顧客ニーズがあるかもしれない。
100か0かではなく、40~60くらいの着地点。そういう発想が新しいサービスの形を生み出します。
パンフレット制作や案内板の設置は「スタート」です。制作や設置が目的ではいけない。いいパンレットが完成して、観光案内所に配布して「はい終わり!」ではいけない。
今日も「活用」を考えて行こう!