「せっかく来たんだからたくさん食べて」はおもてなしにならない事もある件

大内宿に行って来ました。蕎麦好きの僕は「ねぎそば」を食べるのが楽しみでしたが、時間がなくて食べることができませんでした。これはある意味機会損失。ではどうすればいいか?今日はそんなお話です。

【誘客は地域とコミットしているか?】
この日の大内宿もある程度の観光客が訪れていて賑わっていました。最近は年間約80万人が訪れ、外国人はそのうち3万5千人程。震災前に比べると訪問者数は減ったけど、回復に向かっているそうです(ガイドさんのお話です)。

「震災前の100万人まで訪問者数戻したいんですよね」との話もありました。でも人数を増やす事が全てでもないのかなと。

このエリアで商売をされてる方々は、昔からこの地域に暮らす人たち。地域や行政的には観光推進したいところですが、この地域に暮らす人たちにとってはどうでしょう。もしかしたら「生活はできてます」「極端に人が増えても大変です」と思ってるかもしれません(これは仮説です)。

すると単純に入込人数を増やすより、消費単価をあげた方がいい、という考え方もできます。

 

【観光客はここでお金を使っているのか?】
ちなみにこの日、僕は40分程滞在しましたが一切お金を使いませんでした。駐車場でバスを降りた沢山の観光客は、突き当たりにある展望台までガイドさんに案内され、そこからは「○○時までにバスにお戻りください」と、自由散策になります。

周辺はお土産品だらけ。しかしよく見ると「made in 大阪」や「made in 東京」の商品も見られます。一番目を引くのは「ねぎそば(ねぎを箸の代わりにして食べるお蕎麦)」なのですが周囲からも「食べてみたいけど、食べてる時間ないよ」との声が聞こえて来ます。自由散策時間はそれほど長くないのでしょう。

ねぎ蕎麦。大内宿では食べ逃し、会津若松市内で食べましたw

 

 

 

地域や自治体は旅行会社に対し「もっと長く滞在してください」と依頼しているのかもしれませんが、旅行会社には旅行会社の都合と行程があります。

 

【二口で食べれるミニねぎそば】
例えば、江戸時代の蕎麦屋の屋台(かつげるやつ)を路上に置く。
↓こんなヤツ

 

 

 

 

お店できちんと食べたら1,300円くらいするねぎそばのミニ版(二口くらいで食べれる)を、路上で立ち食いできるスタイルで500円くらいで販売したら、ささっと食べれる。

感じたのは、大内宿を往復歩いている間に「食べ歩き」「飲み歩き」できるものもないんですよ。コーヒーでも片手に散策できたら楽しいのになと。

すると発生するのがゴミ問題。風景に馴染む、木製のゴミ箱を通りにおく。景観とのマッチングは大切。なので蕎麦の屋台もビニールテントではダメ。

蕎麦の屋台とコーヒー飲み歩き。これだけでも消費額は上がるかなと。「ねぎそば食べるならお店でしっかり食べて」は機会損失です。ミニでもいいからさらっと路上で食べて、記念に写真撮りたい。写真撮れる機会が増えれば、SNSにもUPされる機会が増え、PRにもなる(まあ、そんな単純な事ではないでしょうけど)。

「せっかく来たんだから沢山食べて」は、観光客には時に不満の原因になる可能性があります。せっかく旅をしているのだから色々食べたい。いろんなお店をはしごして食べたい。一箇所で満腹になりたくない。

基本的に「大満足させない方がいい」と僕は思ってます。心残りがあるくらいの方がいい。

 

【ねぎそばホッピング】
ねぎそばのお店が並ぶエリアです。例えば入り口の駐車場で「首から下げれるねぎ」を販売します。それは「ねぎそばホッピング」の証。好きなねぎそばの店を3軒巡り、そこでは半玉のお蕎麦が提供されます。マイ箸ならぬマイねぎでホッピング。お店を巡る程、ねぎが短くなっていく(笑)

例えばこんなネタも面白いかな。絵的にも話題性があります。

 

【観光客入込数より地域内調達率】
何人来たかより、そこでいくらお金を使ったか。その視点で取り組むと「観光客数は80万人程度(現在程度)でいいから、いかに消費単価と地域内調達率を向上させるか」という戦略になる。

あくまでも例えです。こうしろという意味ではないです。しかし何でもかんでも人数だの伸び率だの言ってるうちは、持続可能な観光地域づくりにならない。

しばらく会津エリアにお伺いする事になりました。こんな事も踏まえながら、地域のみなさまと一緒に面白いツアー作ってみたいと思います。

ブログをメールで購読

投稿者: 西谷 雷佐

青森県弘前市出身。 東奥義塾高等学校を卒業後、ミネソタ州立大学マンケイト校で産業心理学とスピーチコミュニケーションを学ぶ。 たびすけ合同会社西谷代表を務める傍ら、路地裏探偵団の団員としても活動中。 まち歩きや地域の魅力発信から婚活まで講演活動多数。