先日仙台で行われた「東北インバウンドサミット」に青森県代表として登壇させて頂きました。年間約2000万人と訪日外国人が増える中で、東北にはその内の0.9%しか訪れていません。東北のこれから。弘前のこれから。今日はそんなお話です。
東北インバウンドサミット
当日は100人を超える人たちが参加。しかしまあ、面白い人たちがたくさん集まりました。
企画の中心人物は株式会社ライフブリッジの櫻井亮太郎さん。昨年仙台でお会いし、意気投合した方です。
この方が櫻井さん。熱いオトコ。
青森県からは八戸せんべい汁研究所の木村聡さんと私が参加。
ビシっ!とスーツで記念撮影。
株式会社やまとごころ代表取締役の村山慶輔氏による基調講演後、東北6県の面白い取り組みをする人たちが登壇してのパネルディスカッションスタート!
チーム青森、着替えて登壇。笑
「オール東北」として東北の素晴らしさを世界に発信する。そして新しい出会いのあったすばらしいサミットでした。
外国人は東北に何を求めてやって来るのか?
訪日外国人の約7割が「ゴールデンルート」と呼ばれる東京~京都方面を旅しているそうです。
訪日外国人の約半分が初めての来日。言い換えると約半数は2回目以上のリピーター。
韓国・台湾・香港からのリピーターが今の所一番多いようですが、全体の約15%は「日本10回以上来てます!」というヘビーリピーターとのこと。
ここからが本題。
「日本初めてです!」という外国人が、しょっぱなから東北に来ると思いますか?目的や理由次第なのでゼロとは言いませんが、最初はゴールデンルート(東京・富士山・京都等)に行く可能性が高いです。
では「2回目の日本です!」という外国人が、東北に来ると思いますか?初めてよりは確率高くなりそうですが、それでもまだまだゴールデンルート方面に行ってみたい場所が多いでしょうね。
では「3回目の日本です!」という外国人は?
うーん、私なら九州か沖縄か北海道に行きたいかなー。
東北はまだこんなもんです。
まずはそれを受け入れる。でも、だからこそ可能性があると思います。だって、訪日外国人の半分はリピーターなんですもの。「まだ行った事のない日本」に絶対興味あるはずだから。
日本滞在日数と目的は?
ではどうやったら外国人は東北にやってくるのか?それはどんな外国人なのか?どんな過ごし方をしたいのか?
まずはどのような日程で外国人は旅をしているか想像してみましょう。
例えば韓国・台湾・中国等のアジアからならば、3泊4日~4泊5日くらいで日本を訪れるかもしれません。韓国からだと2泊3日もあり得るかな。
しかし、さらに遠いヨーロッパやアメリカからの場合、日本滞在はたぶん7泊以上、もしかしたら1ヶ月以上滞在する人もいるかもしれません。
日本だとそんなに長く休めませんけどね。アメリカ合衆国大統領も、きちんと長期休暇を取りますよね?これは文化の違いです。休む時はきちんと長期で休む。海外は日本より長期休暇取りやすいのです。
「日本への旅はこれで7回目。ゴールデンルート、九州、沖縄、北海道はすでに旅行済。今回初めて東北エリアを旅するぞ!」というフランスからの旅人が、1泊2日で来日すると思いますか?
絶対ないです。
仮にフランスからの旅人が3週間日本に滞在するとして、青森だけで3週間過ごすと思いますか?
まあ、まずありえないです。普通はね。
例えばすんごい「ねぶたオタク」のフランス人で、7月上旬からずっと青森に滞在してねぶた製作を手伝い、自分が作ったねぶたを自分の手で運行する。
これはあり得る。つまり「尖がった何か」の為じゃないと一ヶ所にとどまる事は難しいワケです。
となると、周遊するのが一般的ですから、「東北という物語」が必要になります。物語を巡る周遊の旅。
この「東北の物語」はそのまま「東北という商品」に言い換えてもいいです。
なんとなく「東北はいい所だよ!」では伝わらない。そもそも東北はまだ知られていない場所。最初はきちんと「商品」を作った方がいい。
例えば、
「東北の祭りを巡る」
「東北の農業を巡る」
「東北の名物を食べまくる」
など、なにか一本筋の通った一貫性のある物語(商品)。
東北6県(又はその中の数県)を何かテーマを持って3週間くらいかけて周遊する。土台となるのは「暮らしぶり」でしょうね。
ターゲットは「来日5回以上のリピーター」でしょうかね。
※あくまでも私見です。
そういう事が一緒に考え、実行できる仲間たちと出会えたのが、今回の東北インバウンドサミットでした。
でもね、同じことを山陰山陽・四国など、全国の「地方」が考えていますよね。やり方・魅せ方などをきちんと、しかも早急に精査しないといけませんね。
あまり書き過ぎると弘大での授業のネタバレになるので今日はこのへんでおしまい。笑
「誰の為」のインバウンドか?何を持って「成功」なのか?
これはちょうど昨日、人生の師匠でもある弘前路地裏探偵団の団長とも話をしていたのですが「外国人がどんどん地方に来るようになったら成功か?」と言われれば、それは違うと思うんです。
政府は2020年までに訪日外国人を4000万人に、2030年までに6000万人に!と声を上げていますが、その先に何があるべきか?
それは「地域に暮らす人たちが幸せになる事」です。
仮に去年より弘前を訪れる外国人が増えたとしても、お金が地域にたくさん落ちたとしても、マナーの悪い外国人とのトラブルが多いとか、治安が悪くなったとか、その街に暮らす人たちが疲弊するようなことがあるならば、本末転倒です。
「その街に合った外国人誘客」という考えもあると思います。現在はアジアからの訪日客が多く、「爆買い」という言葉もよく耳にしますが、例えばそれが弘前にマッチングするのか?
あくまでも例えですが、弘前の桜やねぷたといった文化に共感し、継続して訪問してくれるのがアジアよりヨーロッパ圏の人だと仮定した時、「弘前はアジアじゃなくてヨーロッパからの誘客に力を入れます!」くらいの特色を出してもいいのかなと。(決してアジアがダメだという意味ではないです)
「地域の人たちが幸せに暮らす」。それが本質。極論、不幸になるならインバウンドやらなくてもいいんです。地域にお金がたくさん落ちる=幸せではない。
※「外国人観光客が9人旅行で訪れて使う金額=定住人口1人分の消費額」というデータがあるので、経済効果は確実にありますけどね。でもそのお金が特定の数社にしか落ちないなら、あまり意味がない(もちろんそれぞれの企業努力も不可欠です)。又、インバウンドは雇用創出や将来的な移住促進にも繋がる可能性は十分にあると思います。
つまり「幸せとは何か?」という問いを、常に頭の片隅に置いておく必要があります。
それをきちんと踏まえた上で「オール東北」として取り組んでいく。素晴らしい東北を世界にPRしていく。それに共感した訪日客を、共感と愛情を持って地域に暮らす人たちが受け入れる。結果、地域に暮らす人も訪日客も幸せになる。
そんな事をこれから仲間たちと実行していきます。
今日も「本質を捉えて」行こう!