「ういろう」と聞けば名古屋をイメージする方もいると思います。しかし歴史を辿ると小田原に行き着きます。株式会社ういろうの外郎(ういろう)社長の言葉がとても心に染み入りました。今日はそんなお話です。
ういろうとは?
基本情報は大切です。まず、ういろうとは何か?を知った方がいいのですが、詳しくはWEBを見てください(説明ざつー。笑)
最近お腹の調子が悪かったので早速購入して飲んで見たら、随分調子よくなりました。
お店はお城みたい。店舗内には「和菓子」と「薬」を販売する空間が同居しています。
そして、歌舞伎十八番「外郎売」が有名ですね。この歌舞伎のベースになっているのが、小田原のういろうなんです。
二十五代外郎藤右衛門氏
株式会社ういろうの二十五代目が、外郎藤右衛門さん。「ういろう」という苗字は他に存在しないそうです。
昨日、日中にお店にお伺いさせて頂き、ういろうの歴史を教えて頂きました。その熱い語り口と溢れ出る情熱に「素晴らしい理念と人格の方だなぁ」と瞬時に男惚れ。
実は昨年長崎でもお会いしているのですが、その時はゆっくりお話できず、惚れるには至りませんでした(笑)
翌朝、ホテルをチェックアウトしようとした時電話が鳴りました。相手は外郎さん。「駅にお見送りに行こうと思って」と。心配りに感激です。せっかくなのでお茶をする事にしました。
「物売り」ではなく「物作り」が生業
出発まで90分ほど、色んなお話をお伺いしました。
通販やネット販売をしていないのは「うちは物売りではなく、物作りをしているから。売るのは作り手の目の行き届く範囲でいい」という想い。
首都圏のデパート等から「うちで販売しませんか」の声がけが後を絶たない中、外郎さんはこの想いを貫いています。商品が欲しい方は小田原に来るしかないのです。
和菓子のういろうは、購入後自分で切り分けるタイプ。最近は個包装が主流ですが昔はみんなこうでしたよね。切り分けると、
「そっちの方が大きい!」
「僕のは小さい!ズルい!」なんて会話が家の中に響いた。
一人暮らしの人が食べ切れないならば、お隣さんにお裾分けした。
「そうして、ういろうは人々の記憶に残るんですよ。近所付き合いのきっかけにもなる」と外郎さんは話してました。
職人の”粋”
さらにこんなお話も。
お祭りの山車の木製車輪。基本的には大八車です。この大八車、リヤカーのような本体そのものを示すのかと思ってましたが、「8つのパーツから構成されている車輪」という意味があるそうです(諸説あるみたいです)。
なぜ8つのパーツか。
それは均等な8つの方が「作りやすい」から。
しかし、外郎さんの地域の山車の車輪は「大七車」とのこと。360度は7で割り切れないので、7分割ははっきり言って作るのが面倒。さらに、全てのパーツが同じサイズの方が、走行する時の負荷も均等で壊れにくい。
なのになぜ、わざわざ面倒で壊れやすい大七車にしたのか?
「職人が祭りというハレの舞台で、自分の技術を示したかったんでしょうね。ほら、俺は面倒な大七を作ったぜ。でも大八より強度もあるぜ、みたいなね」。
現役で稼働しているこの大七車、もし壊れたら修理できる職人はもうこの世にいないそうです。
何でも便利にすりゃいいって訳じゃない。不便には不便の良さと流儀がある。昔ながらの文化と伝統を受け継ぐ。観光に取り組む時も、紐解くべきは歴史と文化。
時代の流れ的に「シェアリングエコノミー」「民泊」「AI」などに意識が行きがちですが、「その地域ならでは」を歴史文化と関連付けて俯瞰する事の大切さを再確認。
外郎さんの言葉ひとつひとつが体に染み入りました。小田原、魅力的な人がたくさんいる素敵なまちでした。また来ます!