少し前になりますが、地元紙2紙に北海道新幹線開業関連でコメントを掲載して頂きました。又、「弘前里山フォーラム」についても掲載して頂きました。今日はこれらの記事から「ついで観光」について考えてみたいと思います。
「ついで」に付加価値を生み出す
まずは陸奥新報紙に掲載して頂いたコメント。
地元業者は地の利を生かした個性的なツアーで新たな顧客開拓に挑む。弘前市の旅行会社・たびすけは、首都圏の修学旅行をターゲットにした商品をJTBと共同開発した。竜飛岬で厳冬ケツぞり体験、今別町で今別牛のステーキ、蓬田村で流しトマトなど厳冬の東青地区の魅力満喫ツアーも実施予定だ。
西谷雷佐社長は「北海道新幹線なので、お客さんは北海道を目当てにやって来る。そこで本県に「ついで」に寄ってもらえるだけの理由が必要。ターゲットを「誰でも」にすると相手には響かない」と指摘。
「PRする側がよかれと思ってしていることが、本当に相手が望むことなのかをしっかりと検証し、見極めていくことが必要」と強調する。
<2月29日 陸奥新報1面>
「ケツぞり」という単語を新聞紙面で見ることはなかなかないでしょうね(笑)
これは以前ブログでご紹介した「デストロイヤーツアー」の事です。
「北海道新幹線なので、お客様は北海道を目当てにやってくる」
この言葉にはいろいろご意見があると思いますが、僕は基本的にそう思ってます。
なので、函館に向かうお客様が青森県に立ち寄っていただく「理由を生み出す」必要があります。
例えば、サイクリストをターゲットにした場合、東京からマイ自転車を新幹線に積んでまずは新青森駅で降り、そこから奥津軽いまべつ駅までライドを楽しみ(約45キロ)、また自転車を新幹線に積んで函館へ向かう。
到着後は湯の川温泉で旅の疲れを癒す。翌日は大沼方面にまたライドを楽しむ。
そういう旅をする人がいる可能性があります。
青森をライドしたことのないサイクリストは「せっかく函館行くんだから、青森も少し走ってみようかな」と考える可能性があります。
だって、
「俺、この間北海道新幹線乗って、函館をライドしたんだぜ」
よりも、
「俺、この間北海道新幹線乗って、函館ライドして、途中青森も45キロくらい走って、奥津軽いまべつ駅ってヤツも見てきたぜ」
って、言いたいじゃないですか。笑
「青森をサイクリングするだけの為に青森を訪れる人」は少ないかもしれませんが、「函館をサイクリングしに行くついでに青森も走ってみたいと思う人」はぼちぼちいるかもしれません。「ついで」には価値があるんです。
しかしサイクリストはその「ついで」に気付かないかもしれない。
だから重要なのは、「商品」にすることです。
「地元サイクリストが案内する新青森~奥津軽いまべつザ・ライド」
参加費おひとり様8,000円(今別牛ステーキの昼食付)
とかね。
でもこれって、私が勝手にに思っているだけです。つまり私の「仮説」。
実際は「新幹線に自転車積み込んで旅なんかしないよ!」
となるかもしれません。
ゆえに、「検証(見極め)」が大切。
実際にそういうニーズはあるのか。
あるとして、さらに満足度を上げるにはどうすればいいか。
可能性のあることはまずやってみる。
そしてやりっぱなしではなくて、ブラッシュアップしていく。
きちんと継続していく。
これをスピーディーにやることが大切だと思います。
この「仮説と検証」については以前のブログに少し詳しく書いてます。
いずれにせよターゲット設定は大切です。
僕は「関東の修学旅行生」を、今回の北海道新幹線開業の大きなターゲットのひとつと考えています。
個性的な旅をしたい個人客をいかに誘うか
続いて東奥日報紙に掲載して頂いたコメント。
弘前市の街歩きガイド「弘前路地裏探偵団」の主要メンバーで旅行会社「たびすけ」(同市土手町)の西谷雷佐代表(43)は「地域の暮らし、人こそが観光資源」と言い切る。同社は弘前が誇る弘前城や桜、洋館はあえてツアーに使わないという。
同社のツアーは「リンゴ畑でせん定体験」、刀匠とじっくり語り合う「刀剣ツアー」、「厳冬のひろさき暮らし体験ツアー」など特色のある企画ぞろい。いずれも20名規模の少人数ツアーだが、毎回定員を超える応募がある人気ぶりだ。
西谷さんは「例えば冬の暮らし体験は、寒さとか雪とか地域の課題がそのまま観光コンテンツになった。新幹線で函館に降りた人が、弘前に立ち寄るための理屈、物語を編みだしていきたい」と意気込む。
<2月29日 東奥日報3面>
「弘前が誇る弘前城や桜、洋館はあえてツアーに使わない」という。
えーと、
昨日も行きましたw
今日もこれから行きますww
弘前城や洋館「だけじゃない」って事です。
それよりは「剪定」とか「刀剣」とか「雪かき」にフォーカスするのが・・・
「好き」なんですwww
「弘前に立ち寄るための理屈」というのは陸奥新報紙へのコメントと同じ意味。
「今まで1回も旅行したことなくて、今回始めて青森に来ました」
という人はほとんどいないと思うんですよね。
青森へ旅する人は、すでに京都や沖縄、九州に北海道を旅した「猛者たち」が多いような気がします。
すると、団体パッケージではなく、気の合う仲間数人で旅をし、その土地の人間しか知らないような「コト体験」したいというニーズがあると思うんです。
だって、
「弘前に行って弘前城見てきたわ」と言っても、
「私も行った事あるよ。素敵よね」って返される可能性高いです。
又は、
「知ってる知ってる。桜で有名よね。行ったことないけど」
って返される可能性高いです。
それよりは、
「弘前行って刀匠と語り合って、武術習ってきたわ」と言って、
「弘前で刀剣?あなた武術始めたの?それって楽しいの?いくらだった?」
とかって言われたいじゃないですか。笑
先ほども同じ例を出しましたが、この人間心理、商品造成にとても重要です。
しかしこれも私の「仮説」。きちんと「検証(見極め)」が必要です。
思いつきでも何でも、どんどん「仮説」を出していく事が大切。
それを早く検証していく。
その上で、
個性的な個人客をいかに自分のまちへ誘うか。
ターゲットは誰か。個人かコミュニティーか。
どのようにアプローチするか。一方通行ではダメです。いかに双方向にするか。
そのすべてをつなぐのが「物語を編む」です。
「物語を編む」は、講演で必ず話していて、僕の大切にしている言葉です。すべてのツアーを作る時に必ず思い出す言葉。この話は長くなるのでまたの機会に。
東京ではできなくて、弘前でできること
最後に里山フォーラムについての陸奥新報紙掲載記事。
基調講演では「岩木から全国へ、挑戦が未来を創る」と題し、弘前市の人気イタリア料理店「オステリア エノテカ ダ・サスィーノ」の笹森通彰シェフが講師を務め、たびすけ合同会社西谷の西谷雷佐代表が問い掛ける形で、笹森シェフのこれまでの挑戦や思いを掘り下げた。
<3月13日 陸奥新報2面>
全国的に活躍する笹森シェフのお話しはとても刺激的でした。笹森さん程の経験と腕があれば、東京でも成功していたでしょう。でも軸足は弘前にある。
近い将来、畑のある岩木の自宅でレストランを開きたいという笹森シェフ。お客様が自分で収穫した野菜で作るサラダ。カクテルに入れるミントも飲む直前に自分で摘む。
東京ではこんなレストラン、なかなか難しですよね。
自分の暮らすまちの素晴らしさ。意外と気づいていないのは、そのまちに暮らす人だったりします。
青森県はまだまだ可能性に満ち溢れています。
青森県の何に注目するか。
どのような「商品」にするか。
そして、いかに気付いて(知って)もらうか。
やる事はまだまだたくさん!
青森の未来は明るいぞ!
今日も「あるもの活かし」で行こう!
東北インバウンドサミット告知
3月27日、仙台市で開催される「インバウンドサミット」に、パネリストとして登壇させて頂きます。面白いメンバーが楽しいトークを展開します。ご興味のある方はぜひ!
申込み締切は3月18日。お申込はコチラから!
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