印象はあなたではなく相手が決める!「伝える」と「伝わる」の違いとは?

先日弘前公園本丸の展望台に行ったら、岩木山を説明する小さな看板が設置されていました。このおかげで、観光客は正面に見える山が何なのかがわかります!素晴らしい!しかし、おしい!!今日はそんなお話です。

「事実」と「価値」は別物


新たに設置されていたのはこちらの看板。

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7月2日に撮影した画像です。その2週間前に来た時はなかったので、比較的最近設置されたのでしょう。

 

 

以前、こんなブログを書きました。

展望台から何を見せたいのか?「意味」と「価値」が伝わらなければ魅力半減!

看板がない時に比べると、とても観光客の事を考えているなと感じましたが、もうひと工夫あればもっと素敵なのになーと思います。

 

 

 

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この看板が示しているのは、正面に見える山は岩木山という「事実」。でも、観光客が知りたいのはその「意味」と「価値」。

この写真にはお城が一緒に写っていません。純粋に岩木山の写真。ならば春・夏・秋・冬4つの表情の岩木山の写真を掲示し、「弘前市民が心から愛する山です」と一言添えると、伝わり方が違ってくる。

又は、お城も一緒に写った、桜満開時の「桜とお城と岩木山」の写真を掲示する。そうすると「ああ、春にはこの場所からこんな綺麗な風景が見えるのか」という事が伝わり、「来年の春また弘前に来よう」という動機付けになるかもしれない。

この展望台は有料区域である本丸にあります。例えば料金所に「今日の岩木山見え指数」みたいなのを表記する。「雲ひとつなく100%綺麗に見えます!」「ガスがかかっていてまったく見えません」とかね(笑)

この表記の影響で「本丸入るのやめよう」とは、まだならないでしょう。でも「お城と岩木山という風景を特色にしているんだな」というのは「伝わり」ます。

「お城と岩木山」をもっとブランド化してもいいでしょうね。岩木山が綺麗に見えるの、月に何回くらいありますかね?摩周湖だってほぼ見えないけど、むしろそれが観光要素になっている。色々仕掛け方はあると思います。

 

「一番きれいに見える」とは何か?


こちらは田舎館村の田んぼアート。青森県が世界に誇る観光コンテンツ!今年の第1会場のテーマは「真田丸」。

ツイッターで投稿した時もかなりの反響!注目度高いです!

 

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今年から広い展望デッキが新設されました。これでピーク時の行列もある程度緩和されるでしょう。

 

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ツイッター投稿の画像は6/18、そしてこちらの画像は6/29に撮影したもの。どんどん色が濃くなり、見ごたえが増しています!

 

新しく展望デッキが設置されましたが、昨年までの展望所はと言うと・・・
13578975_10205226022929116_2112508881_n「天守閣」という名称で、追加料金200円を支払うと登る事ができます。つまり、展望デッキへの入場料が300円、天守閣に登りたい人は追加で200円必要という事。スカイツリー方式ですね。笑

 

 

では、天守閣から見る田んぼアートはどんな感じかと言うと・・・
13578842_10205226026849214_84104965_nびよーんと縦長に見えます。これは田んぼアートが巨大なゆえの、遠近法の影響。田んぼアートは「展望デッキの位置」に遠近法を合わせて作成されている為、「天守閣」に登ると遠近法的にこんな感じに見えます。でもより高い位置から見る田んぼアートは圧巻!

・・・という事がきちんとお客様に伝わっているのか?

 

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「一番きれいに見える」とは、何でしょう?言い換えれば、「一番きれいに見えない」とは、どのような状況なのか?だって、天守閣からは「一番きれいには見えない」と言っているのと同じですよね?

「一番きれいには見えない天守閣」に登る動機付けって何でしょう?これが伝わらないと登らない。それだけでなく「何があるの?」「200円の価値があるの?」と、いらぬ不安を駆り立ててしまうかもしれません。

 

天守閣のポイントは
・バリアフリーではない
・階段を登る
・観覧スペースが狭い
・より高い場所から田んぼアートを楽しめる
・遠近法的に間延びして見える

これらを整理して、どのような言葉でお客様に伝えるか。

天守閣からは遠近法の関係で縦長に見えます。
又、観覧スペースは狭く、階段をご利用いただきます。予めご了承願います。

 

やりがちですが、僕はおすすめしません。何か言い訳っぽい。日本の文化ですよね。「粗茶でございます」とか、お土産渡す時に「つまらない物ですが」とか。

例えばこうだとどうでしょう。

 

天守閣からはより壮大なスケールで田んぼアートをお楽しみいただけます!
※遠近法の関係で縦長に見えます。ご理解の上、お登りください。

自信持って薦めていいと思います。この言葉を読んで登ったら、あとは自己責任(笑)だって、登ってくれる人がいた方がいいワケでしょ?じゃなきゃこの場所閉鎖すればいいんですから。

ならば、気持ちよく登ってもらった方がいい。伝わりにくい表現により、登る人が減るのはもったいない。伝われば登るのです。

まあ、いろいろ事情があるのかもしれませんが。笑

 

印象は相手が決める


好き勝手書いてきましたが、印象は相手が決めます。現場の担当者が苦労して、いろいろ考えてやっていることも、すべて判断するのはお客様。表記ひとつ、言葉ひとつでお客様の印象は変わります。

何の為に情報発信するのか。それはアクションに繋げる為です。弘前公園の例で言えば、岩木山の看板を設置する事で観光客に満足してもらい、また弘前に来てもらいたい

田んぼアートの例で言えば、看板を設置することで会場での滞在をより楽しんでもらい、また田舎館村に来てもらいたい

これはどの商売でも同じです。

だからこそ仮説検証が大切。本当にそれでお客様に伝わるのか。職場のスタッフだけで企画を考えたら、それを客観的な視点で検証する、又は実際に第三者から意見をもらう。このような小さな事の積み重ねが、地域の総合力になっていきます。

あなたのチラシ・看板・ブログ、様々な発信は「伝わって」いますか?
今日も「伝わる」を意識して行こう!

 

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投稿者: 西谷 雷佐

青森県弘前市出身。 東奥義塾高等学校を卒業後、ミネソタ州立大学マンケイト校で産業心理学とスピーチコミュニケーションを学ぶ。 たびすけ合同会社西谷代表を務める傍ら、路地裏探偵団の団員としても活動中。 まち歩きや地域の魅力発信から婚活まで講演活動多数。