連日海外からのお客様をご案内しています。復興庁の「新しい東北事業」を始め、「東北インバウンド」「日本版DMO」等に国の予算が投入されており、インバウンド関連の会社や団体はここ数年でとても増えたように感じます。そんな中、東北は、青森は、何を魅せて行くのか?どのように魅せて行くのか?今日はそんなお話です。
先週はアメリカ・台湾・インドネシア・タイからのお客様が来弘。私が要所で弘前の解説をすると、それぞれの国の通訳者が一斉に翻訳し始める風景は正に「インターナショナル」。笑
今回ご案内した場所や内容を振り返りながら、いろいろ考察してみましょう。
洋館で和菓子づくり体験
最初は「洋館で羊かんづくり」をやりたかったんです。ええ、ダジャレです(笑)しかし、羊かんは作るのが結構大変という事で「和菓子づくり」になりました。・・・いつか羊かん作ります。
「洋」館と「和」菓子というコラボレーション。職人の手先の器用さに、皆さん感動の様子!
弘前では「和菓子のまち弘前」「洋館のまち弘前」として売り出しているコンテンツを、たびすけ流にアレンジしたワケですが・・・全国的にどうでしょう?みなさん弘前と聞いて「和菓子」「洋館」を連想しますか?
卜傳流古武術体験
弘前だけに伝わる卜傳流(ぼくでんりゅう)古武術体験。こちらは過去にも刀剣ツアーを実施しており、たびすけではおなじみの内容。
袴に着替えて武士の作法と剣術を学ぶ。皆さん楽しそうでしたねー!
弘前ではじわじわと人気の出てきている卜傳流ですが・・・全国的にどうでしょう?弘前と聞いて「武術」を連想しますか?
雑貨屋と市場めぐり
こちらは弘前の中心商店街土手町をぶらぶらするツアー。行く先々で地元の人とおしゃべりを楽しみます。
外国の方は日本人以上にお花が好きですね。
写真は「ミズ」という山菜。北東北あたりではこの時期メジャーな食材ですが、他の地域ではあまり見られないみたい。
その「ミズ」の皮をむいて、漬物にしている市場のおかあさんとおしゃべり。このちょっとした会話が、まちの印象を一層濃くします。
昔の米屋さんを改装した文房具屋さんや、メイドイン弘前の「ブナコ」など、土手町には面白いお店がたくさん!
しかし、市場や雑貨屋は全国どこにでもありますよね?
最近の人気TOP3
この他、「りんご畑で流しそうめん」や「津軽塗・こぎん刺しめぐり」、「庭園散策」など、いろいろご案内しましたが、圧倒的に人気があるのは、
「津軽あかつきの会」!
郷土料理の昼食はベジタリアンも大満足!
「田んぼアート」!
誰もがうなる大迫力!
そして、何気に大人気なのは・・・
タイムスリップ酒場「十八番」!
ここは、早押しクイズが楽しめる酒場。普段は邦楽のイントロ当てクイズや、雑学クイズで地元人が盛り上がる場所ですが、オーナーに相談し、「ビートルズ」「マドンナ」などの洋楽でイントロ当てクイズを実施して頂いたところ・・・
大ウケでした。笑
日中に弘前を観光し、夜は奥入瀬に移動する方が多いですが、弘前の夜はとっても面白いんですよ。笑
「暮らしぶり」をエンターテイメント化する
例えば「和菓子」で連想するのは・・・京都?「洋館」だと函館や神戸?しかし、和菓子・洋館・武術・市場・雑貨屋・郷土料理、これらは全国いろんなまちに存在します。
大切なのは「ほんのちょっとのアレンジ」です。「弘前は全国的に和菓子が有名な訳ではないから」と考えた瞬間、地域の魅力がひとつ見えなくなってしまいます。
例えば和菓子作りは公民館でもできます。でもそれをあえて「洋館」でやってみる。どちらも全国的に有名ではないけど、弘前らしいコンテンツ。ふたつそろうと、足し算以上の魅力になる。
「ミズ」が旬な時期だから、獲れたてのミズを売っている八百屋の前を通った後に、加工されたミズの漬物を売っているお店の前を通るよう、ルートを調整する。目にする順番、たったそれだけで「物語」になる。
郷土料理もだた食べるだけじゃもったいない。食事会場に作ってくれたお母さんたちも一緒にいてもらい、おしゃべりしながら食べる。
これらの「ほんのちょっとのアレンジ=エンターテイメント化」を実現させるのは、地元ガイド(キュレーター)の存在です。あるものを活かし、エンターテイメント性のある物語に編み上げるガイド(キュレーター)を東北にどんどん増やしていく事が大切だと思います。
東北には、まだ知られていないだけで魅力的なコンテンツが沢山あります。オーケストラに例えるならば、トランペット・バイオリン・フルートなど各楽器の演奏は十分魅力的。しかし指揮者がいないとハーモニーにならない。そんな感じでしょうか。その指揮者こそが地域のガイド(キュレーター)。
同じ楽曲でも指揮者によって印象が違うように、ガイドによって地域の編み方も変わります。だから面白い。東北はソロ演奏よりハーモニーが楽しい地域です(東京はソロ演奏楽しいかな。笑)。だから楽しむには指揮者が必要!
どんなに地元手配会社(ランドオペレーター)やWeb情報発信が充実しても、ガイドがいないと東北の魅力は半減。だって現状、そんなに有名じゃないし、わかりにくい(伝わりにくい)物が多いから。言葉だけではなく、暮らしぶりの通訳者が必要だと思います。
ゆえに、これはインバウンドに限った話ではないんです。東北、特に青森県に来たことがない日本人もたくさんいるはず。そんなみなさんにとっても、「暮らしぶりの通訳者」がいた方が東北を楽しめると思うんです。
まずは東北の仲間がしっかり連携し、同じクオリティーのガイド(キュレーター・暮らしぶり通訳者)を育成する。暮らしぶりをエンターテイメント化する。概念だけではなく、きちんと商品化する。これを民間主導で継続的に取り組む。例えば私が仙台の街をガイドしても、説得力ないでしょ?仙台の街案内は、仙台の人がするから面白いし納得する。
「地域は人」「人こそがコンテンツ」とよく耳にします。まったくその通りだと思います。では、その「人」とは誰のことか?もちろんそれぞれのコンテンツに関連する方(楽器演奏者)も「人」ですが、これから重要なのは、地元の指揮者的「人」の存在。
「東北はガイドと旅するのが当たり前」というブランド化。外国人・日本人問わずにね。そしてコンテンツは暮らしぶり。これに取り組んでいきます。
もちろんひとりじゃできません。最近、「チーム東北」として連携していける仲間たちと出会いました。東北、そして青森はこれからどんどん面白くなる。「青森?だったら西谷さんいるから大丈夫だよ」と言ってもらえるよう、僕も研鑽を続けて行きたいとおもいます!
そんな仲間たちと出会った時のブログ。
この愉快な仲間たちと来週仙台で勉強会を開催し、講師を務めさせて頂きます!
センダイ自由大学
西谷流あるもの活かしでインバウンド発信!人が唸る着地体験の作り方・発想の仕方
お近くの方はぜひ!
今日も「東北」を考えて行こう!