グリーンツーリズムの視察で大分県安心院(あじむ)に行ってきました。グリーンツーリズムは、農業体験をして農家民泊するのが基本。しかし「草に触りたくない」という子供がいたら、あなたはどうしますか?
農業体験の「目的」はなにか?
例えば都会の中学生が農家民泊をしに来たとします。学校の先生の想いとしては「農業体験を通して、何かを学んでほしい」といった感じでしょうか。
「さあ、畑に入ってかぼちゃ収穫するよ!」と子供たちに声をかける。すると何人かは笑顔で畑に入ってくるが、ひとり、入ってこない。
「どうしたの?」と話を聴くと「服に草がつくのが嫌だ」という。さて、どうしますか?
かぼちゃを収穫することが「農業体験」か?
「やったら楽しいから、畑入っておいで!」という選択肢もあるでしょう。学校の先生(ある意味、クライアント)も「体験させて欲しいと言っています。
しかしこの日お世話になった安心院グリーンツーリズムの時枝さんはこう言ったそうです。
「それじゃあ、おばちゃんがそっちにかぼちゃ投げるから、きちんと受け取ってね。落としたら壊れちゃうから、落とさないでね」と。
その子供は全身を使ってかぼちゃを受け止める。「よーし、じゃあ次はもっと大きいのいくよー!」
この子供は畑には入りませんでした。しかし畑で過ごした時間は楽しい想い出となりました。
「畑は楽しかった」。それだけでいいのです。
「叱ってやってください」は「褒めてやってください」
川で大根を洗わせると、子供は川遊びしたくなる。そしたら遊ばせる。ガチガチに農業体験させる必要はない。
竹で箸を作ったり、薪で火をおこしたり。これだって農業体験。まちを歩くのも農村を知るということ。これらは立派なグリーンツーリズム。
畑に入らなかった子供は、先生に叱られたでしょうか?
「かぼちゃを一生懸命受け取ってくれましたよ」。それを聴いた先生は、子供を褒めてやる。きっとそれがいい先生です。
全力でグリーンツーリズムに取り組む姿勢に感動
そんなお話をお伺いしながら、記録的大雪の日訪れた安心院の夜は更けていきました。
会員は70名ほどいるそうですが、皆さん本業は農家。時枝さんほど全力で受入をしている会員は8名ほどとのこと。
創立20年、いろいろあったそうです。時枝さんも家庭の事情などで一旦受入れを辞めた時期もあった。しかし状況が落ち着くと戻ってきた。それを仲間は笑顔で受け入れた。
これでいいんです。無理してはいけない。みんな役割があります。8人だけでは成立しないし、残りの62名だけでも成立しない。
そこには確固たる信念と、安心院に対する熱い想いがありました。
ちなみに翌朝目覚めると、そこには弘前と変わらない景色が広がっていました(笑)
親戚になれるグリーンツーリズム
書ききれませんが、今回たくさんのヒントを頂きました。安心院は1回訪れると遠い親戚。10回訪れると本当の親戚になるそうです。あと9回来なければ!
今日も「グリーンツーリズム」を考えて行こう!
安心院町グリーンツーリズム研究会の詳細はこちらのリンクから!